世界のトランプメーカーについて
有名なメーカーは伝統のあるメーカーが多く、そのほとんどが19世紀に設立されています。カードは特にイギリスでは、19世紀になって、トマス・ド・ラ・リューによるド・ラ・リュー社という印刷業から出た、トランプ・メーカーにより発達し、アメリカではルイス・コーヘンによる色彩印刷の進歩など、製造法の技術的向上が進みます。現在では以下のメーカーが活躍しています。
*ピアトニック社(Piatnik, Ferd&Sohne)
オーストリアの有名なメーカーで、1824年頃からウイーンのカード製造者として名高いです。色彩印刷の美しさに定評があります。
*フルニエ社(Fournier, Heraclio S.A.)
スペインの有名なメーカーで、1868年ヴィットリオにて創立。斬新なデザインで世界に知られています。フルニエ・ミュージアムからは、世界各国の古いトランプが紹介されている「PLAYING CARDS」が出版されています。
*ミュラー社(Muller, A.G.)
スイスの有名なメーカーで19世紀初期にナウハウゼンにて創業。タロットカードも数多くリリースしており、アメリカなどに輸出しています。1970年代の日本のタロットブームの時、最初に本格的に輸入されたのが、ミュラー社の1JJ版タロットでした。
*グリモウ社(Grimaud, B.P.)
フランスの有名なメーカーで1848年設立。(1851年にパリにて創業とも言われています。)1870年代以降、19世紀末までにLequart & ThuillerやPellerin、Camoinなどを吸収しましたが、1962年グリモウ社はロレーヌ地方のメーカー"La Ducale"のJean-Marie Simon(J・M・シモン:後のFrance Cartes社)にブランド名と商品目録を売却。1963年にはウォディントン社(Waddington, J. 1893年頃からある老舗のメーカー)とイギリスの老舗メーカー、ド・ラ・リュー社の二社と合併しました。その後、カードはイギリスでは「ウォディントン」、フランスでは「グリモウ」の名で発売されていました。現在は、ヘロン(Heron)社や デュッセ(Dusserre)社と共に France Cartes社 の傘下で活動しています。歴史的な復刻版を数多くリリースしています。
*U.S.プレイング・カード社(U.S.Playing C.C.)
アメリカ最大のカードメーカー。1867年にラッセル・モーガン社としてサーカスや劇場のポスターを印刷する会社からスタート。1881年よりカードの印刷を手がけ、1891年にはユナイテッド・ステーツ・プリンテング社に、1894年頃から、現在のU.S.プレイング社の社名が用いられました。マジシャンが好んで使う日本でも有名な「バイスクル」は1885年からの製品。1894年にニューヨーク・コンソリデイテッド・カード社(1832年にルイス・コーヘンにより設立)を、さらに13年後にはダウティ・カード会社を吸収合併し発展しました。その後1969年には、ダイヤモンド・インターナショナル社の傘下に入り、子会社として運営されています。西部で人気を博した「ビー」は1892年に発売。ブリッジ用カードの「コングレス」は1881年より製造しています。
*U.S.ゲームシステムズ(U.S. Games Systems, Inc)
アメリカのタロットカード大手メーカー。オーナーのStuart R.Kaplan 氏はタロット研究家&コレクターとして有名です。プレイング・カード(トランプ)も数多く出しています。
*ロ・スカラベオ(LO SCARABEO)
イタリアでピエロAlligoとマリオPignatielloによって1987年に設立された新進気鋭のメーカー。新しいタロットカードを比較的安価に積極的にリリースして急成長。日本にも多く輸出しています。プレイング・カード(トランプ)も数多く出しています。
他に、アメリカのモーガンプレス、イスラエルのライオン、ドイツのASS、イタリアのダルネグロ、モディアーノ、アリエンテなども有名です。