タロットカードの種類は、現在大きく分けて、「ライダー・ウェイト・タロット(ウェイト版)」系と「マルセイユ・タロット(マルセイユ版)」系の二つに分けられます。(トートタロットやエテイヤタロットは特殊なタイプとなります。トートタロットやファルコナー系エジプシャンタロットは構造的にマルセイユ版を基に制作されています。)
「ライダー・ウェイト・タロット」系は78枚が全て絵札となっており、従来のマルセイユ版や「ソラ・ブスカのタロット」を元に19世紀末の魔術結社「黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)」の教義を加え、20世紀初頭に誕生し、イギリス、アメリカで主流となりました。
「マルセイユ・タロット」系は小アルカナ56枚がトランプの様に数札となっており、歴史が古くヨーロッパで伝統的に使用されてきました。
以下に、現存する最も古いヴィスコンチ家のカードから、現在に至るまでに発生したタロットカードの種類を記述します。
15世紀のヴィスコンチ家のカードから16世紀、17世紀 とデザインや大アルカナの順番のバリエーションの細かい違いのあるカードが複数発見されていますが、現在まで残っているデザインで古いものは、マルセイユのタロットです。これの元になったデザインは17世紀後半に出来たようですが、一部の「月」や「星」のデザインはすでに16世紀半ばのイタリアのカードに現れていたようです。また18世紀中盤あたりから現在も残っているゲーム専用タロットが発明されてきました。そして18世紀後半のクール・ド・ジェブランのタロット古代エジプト起源説により、エッティラなどのエジプシャン・タロットが登場します。
それにより、19世紀にはタロットカードは、マルセイユ版タロット、エジプシャン・タロット、ゲーム専用タロットの主に3つの大きなバリエーションが存在することになりました。さらに19世紀末には、エッティラ系とタイプの違うファルコナーのエジプシャンタロットが加わります。
そして1909年、ついに最も後のタロットカードに影響を与えた、ライダー・ウェイト・タロットが登場します。
また、20世紀中盤から、個々のオカルチストや占い師や魔術結社の独自のカード(クロウリーのトート・タロットなど)が加わり、「ニュー・エイジ」の隆盛を経て20世紀後半には、ユング心理学の「元型」などに影響を受けた異型のタロットや、易を取り入れたイーチン・タロットや易をビジュアル化したイーチン・カード(日本では高井紅鳳氏の「易占タロット」の影響でイーチンタロットとも呼ばれます。)、そしてセラピーを目的としたタロットも登場します。
現在では
① ウェイト版系タロット (オール絵札、現在は占い専用)
② マルセイユ版系タロット (小アルカナはイタリアン・スート、占いにも使用する。)
③ エジプシャン系・タロットⅠ(エッティラ・パピュス系)
占い師エッティラからの影響を受けたもの。占い専用。
④ エジプシャン系・タロットⅡ(R・ファルコナー系)
R・ファルコナーの本に掲載された絵柄に影響を受けたもの。占い専用。
⑤ オカルチストや占い師、魔術結社などの独自のカード
クロウリーのトート・タロットなど。占い、魔術儀式などに使用。
⑥ ユング派の「元型」に影響を受け異種文化を取り込んだ異型のタロット。
「セラピー」など心理学的目的を与えられたタロット。易を取り入れたイーチン・タロット、イーチン・カード(日本では「易占タロット」の影響でイーチンタロットとも呼ばれる。)
⑦ 芸術、イラストレーター系タロット。
⑧ マルセイユ版の基になった各種復刻版のヒルトリカル・タロット。
⑨ ゲーム専用タロット(タロック)カード
小アルカナは、現在のトランプと同じフレンチ・スートを採用し作られたもの。
と、大まかに分けると約9種類のタロットカードが存在します。
(また、個人の趣味を反映したタロットカードも増えています。)
また、アメリカのタロット研究家シンシア・ジャイルズの時間軸を基にした分類を、著名な占い・精神世界研究家、伊泉龍一氏が著書の中で紹介しています。
1.15世紀前半(タロットカードが誕生したと思われる)から18世紀後半の1781年クール・ド・ジェプランの「原始世界」出版頃までのゲームなどに使われたと考えられる古典的タロット。
「ヒストリカル・タロット」(1440年頃のヴィスコンティ家のタロットなど)。
2.18世紀後半1781年クール・ド・ジェプラン原始世界第8巻「タロット古代エジプト起源説」出版以降から19世紀末「黄金の夜明け団」全盛期頃までの「失われた古代の叡智や秘教的教義」の復活を目指した秘教的タロット。
「エソテリック・タロット」(エテイヤのカードやエリファス・レヴィの「高等魔術の教理と祭儀」に影響をうけたカード。グラン・タロー・ベリーヌやオスワルト・ウイルト・タロットなど)。
3.19世紀末から20世紀半ばあたりまでに起こった、極限まで秘教化されたタロットを更に前進させて伝統的絵柄とは異なる、より洗練化したオリジナルな表現で示したモダンでアーティステックなタロット。
「モダン・タロット」(ライダー・ウェイト・タロット(ウェイトースミス・パツク)やトート・タロット)。
4. モダンタロット期と重なる1930年頃~20世紀半ばあたりから現在に至るまでの、従来の伝統や解釈に捕らわれない世界のスピリチュアリズムを取り入れ、自由な表現を得た異型のタロット。
「トランスフォーメーション・タロット」(東洋文化やネイティブ・アメリカ文化など世界の文化や思想や心理学を取り入れたタロット。ボイジャータロットなど)。
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タロットカードは16世紀初頭には、イタリアからフランスやスイスへと広まりやがてヨーロッパ各地に広がるのですが、ゲームとして使われているうちに18世紀中盤から後半に掛けてドイツとハプスブルグ帝国領内で完全なゲーム用タロット(タロックと呼ばれる場合が多かった)が生み出されます。これは、22枚の大アルカナの数字の部分を大きくし、従来のデザインを完全に無視して動物などの絵柄に変えたものです。この絵柄は後に装飾的意味合いが強くなり建物、風景、花、物語のキャラクターなど数々の種類を生み出し、また小アルカナは、現在のトランプのスート(フレンチ・スート)を採用し、ゲームに使いやすい様に双頭カード化されていきます。美術的に美しい物もあります。
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