「
漢方薬局・元氣通り」(
くぼ薬舗)は、昭和13年開局「井筒屋薬局」より続くお店です。店主は祖父、父、母、そして兄弟4人とも薬剤師という根っからの薬剤師家系です。当店の店主がタロットカードと出会ったのは、小学生の時、母が営んでいた薬局と兼業していた美容院(母は薬剤師だけでなく美容師の免許も持ていました。)に置いていた女性雑誌の付録を見たことに始まります。当時は謎に満ちた不思議なカードがあるものだと子ども心にも興味を抱きましたが、本格的に調べ始めたのは高校生の頃からです。絵札に描かれた象徴的な図柄や謎に惹かれ、美術的な興味もあり、ついつい収集してしまい、今ではこんなサイトを運営するようになりました。
そもそも漢方薬局がなぜタロットカード?
当方は、元々病院薬剤師でしたが、現在は漢方(特に中医学)を生業としています。
漢方医学の本場中国で最も古い医学書「黄帝内経」は、陰陽五行論に則った医学理論を解いています。五行とは、(木、火、土、金、水)で、中医学の臓腑弁証では其々(肝、心、脾、肺、腎)と捉えます。この漢方の陰陽五行論的発想は、紀元前6世紀頃のクロトンのアルクマイオンが唱えた(熱・冷・乾・湿)をそれぞれ対抗する力とらえ、病気の原因や治療をそこから説こうとする考えや、紀元前5世紀頃のエンペドクレスのような(空気・水・火・土)を四大元素とする哲学的西洋魔術的思考に類似性があります。そして紀元前5世紀半ばから紀元前4世紀にかけて活躍した西洋「医学の父」ヒポクラテスはこの傾向を医学から排除しょうとしましたが(ヒポクラテスは、代わりに観察よる四体液説を唱えました。現代医学は、コス派医学のヒポクラテスに対し、ライバルの、科学との相性の良いクニドス派の医学で行われています。)、自然治癒力の重視や体全体のバランスと予後を重視した点ではヒポクラテスは漢方の思考と同じで、ユングの集合的無意識の元型の影響か、中国の紀元前4世紀頃の「黄帝内経」では、このような思考を臨床観察により更に押しすすめ、(木・火・土・金・水)の五気と五臓との関連性を見出し、また六淫(風、寒、暑、湿、燥、火)という体に影響を与える邪を見出し、他に例を見ない優秀な医術として発展させました。
タロットカードは、18世紀後半より西洋魔術的影響を受けはじめ19世紀には近代魔術の重要なツールとなりました。「医学の父」ヒポクラテス以前の古代の病気の治療は呪術や巫医(ふい)が行っていましたが、19世紀のタロット魔術に関わった人々の中にウェストコットやパピュスなど医師が散見されるのは興味深いところです。19世紀末の有名な魔術結社『黄金の夜明け団』でも、タロットカードの小アルカナの四つのスートに其々、空気(風)・水・火・地が当てはめられており、スピリチュアルな世界では、タロットカードの大アルカナが「愚者の旅」で示す様に「人間」の成長を表すなら、タロットカードは小アルカナの四つのスート、四気に人間に当たる大アルカナが加わった五つの要素で出来ていると考えても面白いと思います。この場合、風=木=肝、水=腎、火=心、地=金(コイン)=肺、人間=土=脾、かも…
このように、西洋魔術に影響をうけたタロットカードは、漢方思考とも遠からぬ関係?(かなりこじつけかも…)なのかもしれません。
なお、当方では漢方で良く解説される、「五行色体表」を学ぶ過程で「(漢方)陰陽五行四柱推命」に出合い、鑑定も行っております。通常の「四柱推命」とは違い特徴のある命理学です。詳しくは「
漢方薬局・元氣通り」の「
陰陽五行四柱推命」をご参考下さい。