1459年頃制作された、「マンテーニャ・タロッキ(タロット)」と呼ばれるタロット(イタリア語でタロットはタロッキ)。イタリアのパドヴァにあるエレミターニ美術館に保管されている(有名なアンドレア・マンテーニャとは無関係)。タロッキ(タロット)と名前は付いているが、教育目的のカードとして制作されたと考えられている。絵ばかりで出来ている50枚一組のカードで、10枚の絵の五組からなっており、E、D、C、B、Aの五つのカテゴリーに分けられ、E・1「乞食」からA・50「創造主」まで段階的に配列されている。作曲家の林宏太郎氏によると便宜上次のようなタイトルがつけられている。
E…社会の職階層
D…アポロと九人のミューズ
C…学問と芸術
(人文科学「文法学、修辞学、論理学」の3学と自然科学「算術、幾何、天文学、音楽」の4科の自由七科〈リベラルアーツ〉)
B…七つの基本徳行と天文
A…天体と天空
{「B」に含まれる基本徳行とは、正義、思慮分別、節制、不屈の精神(力)、信仰、希望、慈愛、の七種を表し(このうち、信仰、希望、愛の三種は「神学的三美徳」ともいう。)、ヨーロッパ精神史の重要な事柄で、タロットの寓意画の題材の一部にも使用されている。基本道徳、基本徳目ともいい、英語ではカーディナル・ヴァーチュズ(Cardinal Virtues)と言うそうです。}これは、十五世紀半ばまで受け入れられていた、トレミーの宇宙法則(トレミーとは2世紀にアレクサンドリアで活躍した天文学者「プトレマイオス」のことで、天動説のこと。)を型取って作られており、各カードには、一番下に絵の名前とローマ数字があり、左右の下隅にカテゴリーを示すアルファベット記号とアラビア数字が付けられている。以前はアンドレア・マンテーニャ(1431年~1506年)の作と考えられていたが、一説によれば1459年、人文主義運動に寛大だった教皇ピウス二世(在位1458年~64年)がミラノの東方約140キロの位置にある、マントゥア(Mantua マントーヴァ)で考案したとも言われている。オリジナルは銅版画によるモノクロのカードだが、本カードは美しく着色と装飾と特殊加工が施こされ、更に本体50枚にボーナスカードが25枚付いている。
コレクション向き。
75枚 サイズ〔120×66〕
[イタリア・ LO SCARABEO社製]