【20世紀】
1900年 パリのメイザースはクロウリーの昇格を認め、ロンドンのメンバーと完全対立。1900年4月メイザースとクロウリーは「黄金の夜明け団」を追放される。
1901年〔イギリス〕 メイザースをだました詐欺師にせシュプレンゲルらが、黄金の夜明け団の機密文章をうばってロンドンで悪辣なオカルト商売を行い警察に逮捕される。警察の取調べに対し、自分たちは「黄金の夜明け団」の首領と名乗りマスコミが大騒ぎとなる。
このスキャンダルのため、「黄金の夜明け団」はあえなく終息。
1901年ラフマニノフ、「ピアノ協奏曲第二番」作曲。
1902年〔日本〕明治35年 日英同盟が結ばれたこの年、京都の任天堂がアメリカから機械を導入し、国産第1号のトランプが作られる。
1904年 クロウリー、エジプトのカイロ滞在中に妻ローズの口から守護天使エイワスからの託宣を告げられる。その指示に従い受けた啓示を「法の書」に記する。これは、クロウリーの代表作となり、彼の座右の銘「”汝の欲するところをなせ”それが法のすべてでなければならぬ」の一節も登場する。これにより、メイザースに結社の指導者の地位を譲るよう要求。たもとを分かつこととなり、1907年自らの結社、「銀の星団」設立。
1905年ドビュッシー「海」作曲。
1905年美術、フォーヴィズム運動。マティス、ルオーなど。また、ピカソによるキュビズム。
1909年〔フランス〕 パピュスが「タロット占術」を出版。大アルカナと小アルカナの78枚全てを使う占いを主張。ジャン・ガブリエル・グリーナーにより描かせた「エジプティアン・タロット」を口絵に使用。
1909年 クロウリー「777の書」を著作。この書物から「黄金の夜明け団」の秘密であるタロットとヘブライ語の対応などを暴露していく。
1909年〔イギリス〕 この動きに反応して、元「黄金の夜明け団」団員であるアーサー・E・ウェイトが、パメラ・コーマン・スミスに描かせたイギリス最初のタロット・パック、『ライダーウェイト・タロット』を発表。さらに「V.N.」という署名のもと「オカルト・レビュー」誌に黄道十二宮、天体とエレメンツ、ヘブライ語などのタロットとの間の秘密の属性が公開される。
これらの動きにより、それまで一部の結社のものであったオカルト・タロットは大衆化へ向かう。
1911年〔アメリカ〕 アメリカでアーサー・E・ウエイトの「タロットの絵の鍵」が出版される。
1911年ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」。
1912年ラヴェル「ダフニスとクロエ」作曲。
1916年〔アメリカ〕 アメリカで『ライダーウェイト・タロット』の海賊版が登場する。(実質的なアメリカのタロットのスタート点)
1916年映画「イントレランス」。
1918年〔アメリカ〕 C・C・ザインが「光の兄弟団」結成。のちに「光の協会」となる。ファルコナーのエジプシャン・タロットそっくりの白黒タロット出版。ウェイト版の初期のディストリビューターも行う。1920年~1930年前後のカリフォルニアにこれら多くの秘教的スクールや組織が設立。アメリカのサブ・カルチャーの中にタロットがしっかり根付く。
1919年映画「カリガリ博士」。
1924年ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」作曲。
1925年映画「戦艦ポチョムキン」、「黄金狂時代」。
1926年〔フランス〕 当時フランスのフリーメーソンの中心的人物になっていたオスワルト・ウィルトが自らのタロットカードのデザインを改め「中世のアーティストのタロット」と題して『オスワルト・ウィルト版』を発行。翌年、同名の本を出版。
1927年〔アメリカ〕 元黄金の夜明け団米国支部メンバーで「聖堂の建設団」=「BOTA」のもとになる結社を設立したポール・フォスター・ケースが「タロット・時代を超えた知恵への鍵」の中でタロットのシンボルを心理学者C・G・ユングの「集合的無意識」と結びつける。またタロットの起源、モロッコのフェズ説を説く。
1928年〔アメリカ〕 マリン・パルマ・ホールが「バラ十字の象徴哲学の百科事典的な概要」〈象徴哲学体系)を出版。
1928年、ラヴェル「ボレロ」作曲。
1929年〔アメリカ〕 マリン・パルマ・ホールが神智学者J・オーガスタス・クナップと共にフランスのオカルト・タロットの伝統に影響を受けた「改定された新たなアート・タロット」というタロットを出版。
1930年 神智学者A・E・ツェイレンスが、神智学的観点からタロットを解釈した「タロットの概論」出版。
1930年〔日本〕昭和5年 河合乙彦氏、著作「西洋運命書」(春陽堂発行)の中でタロット・カード占いを紹介。
1931年〔日本〕昭和6年 酒井潔氏の著作「降霊魔術」第9章錬金術の項にタロットの記述。
1931年〔アメリカ〕 ポール・フォスター・ケースが「BOTA」のメンバー、ジェシー・バーンズ・パークスにタロットを描かせ『BOTA版』が出版される。
1931年映画「街の灯」。
1932年〔アメリカ〕 元クロウリーの秘書であったイスラエル・リガルディーがフロイトの深層心理学的発想を採用して魔術の原理を解説した「生命の樹」「柘榴の園」を出版。
これにより、黄金の夜明け団の教義のほとんどが秘密でなくなった。
1933年映画「キングコング」。
1936年〔アメリカ〕 ポール・フォスター・ケース「哲学探究会」設立。現在も活動中。
1936年プロコフィエフ「ピーターと狼」作曲。
1938年〔日本〕昭和13年 阿部徳蔵氏、「とらんぷ」(第一書房)でタロットカード紹介。
1939年映画「風と共に去りぬ」、
1941年映画「市民ケーン」
1942年 クロウリーのディレクションにより、レディ・フリーダ・ハリス(英国自由党議員、パーシィー・ハリス卿の妻)により描かれたクロウリーオリジナルのタロット『トート・タロット』が発表される。 古典的、オカルト・タロットの終焉。
タロットのトレンドの中心はアメリカへ。従来の秘密の伝承(オカルト・タロット)から自由なタロットの表現へ。
1943年映画「カサブランカ」。
1944年映画「天井桟敷の人々」。
1953年〔日本〕任天堂、プラスチック素材を取り入れたトランプを開発。
1960年〔アメリカ〕 イーデン・グレイが「明かされた タロット」の中でウエイト版使用。この後、アメリカではウエイト版を採用したタロット本が続々登場する。また、この書物が出版されたあたりからタロットの過去の伝統的解釈から離れ、それぞれの著者の世界観に基ずく解釈が行われるようになる。
1960年映画「太陽がいっぱい」。
1961年〔日本〕昭和36年 渋沢龍彦氏、「黒魔術の手帳」(桃源社)を出版。この中に以前、探偵雑誌「宝石」に掲載した 「古代カルタの謎」と題したタロットの紹介を収載。
同年2月 山田美登利氏、日本初のタロットカード(ウェイト版を模写した小型版)をプリント。「タロットカード占法典」と共に私家版として出版。
1961年映画「ウエスト・サイド物語」。
1965年映画「野生のエルザ」(タロットが劇中に登場)
1968年映画「2001年宇宙の旅」。
1971年映画「ベニスに死す」。
1972年〔アメリカ〕 アルフレット・ダグラス、著作「タロットカードの起源 意味 使用法」の中で大アルカナのカードの順番をユング心理学の「個性化」のプロセスと重ね合わせる。使用図版は「ダグラス・シェルダン・タロット」
1972年〔日本〕昭和47年 種村季弘氏、「錬金術ータロットと愚者の旅」(青土社)、「薔薇十字の魔法」(薔薇十字社)出版。
同年6月 メンズ・マガジンの「NOW」が1JJ版タロットを掲載。
1973年〔日本〕昭和48年1月 中井勲氏、「タロット」(継 書房)出版。
同年 1JJ版タロットがスイスより輸入され販売される。
同年 国産タロット「薔薇十字団のタロット」(スタジオTUM発行)出現。(オスワルト・ウィルト版のコピー)
1973年映画「アメリカン・グラフィティ」。映画「007死ぬのは奴らだ」(タロットが劇中に登場)
1974年〔日本〕昭和49年 ユリ・ゲラーとともに日本にオカルトブームが起こりタロットも流行する。
同年5月 神戸の地下街で日本初のタロット展が開催される。
同年8月 岡田夏彦氏、「運命の書」(コーベブックス)出版。
同年9月 A.木星王氏、「ジプシー占いタロット入門」(保育社)出版。
同年10月 辛島宣夫氏、「タロット占いの秘密」(二見書房)出版。
同年11月 渋沢龍彦氏、「別冊太陽」でタロット紹介。
1974年映画「ゴットファーザーPart2」、映画「家族の肖像」、映画「フェリーニのアマルコルド」。
1975年〔日本〕昭和50年 A.木星王氏、「タロット 入門と占い」(大陸書房)出版。日本初の本格的タロット研究書となる。
1975年映画「イノセント」、「カッコーの巣の上で」
〔日本〕A.木星王氏、「秘法カード占い入門」(日本文芸社)出版。
1977年〔アメリカ〕 イスラエル・リガルディーがメイザースのノートブックを基にしてロバート・ウォン博士に作画を依頼して、『ゴールデン・ドーン(黄金の夜明け)タロット』を出版。
1977年映画「スターウォーズエピソードⅣ」「未知との遭遇」。
1978年〔アメリカ〕 Stuart R.Kaplanが 「The Encyclopedia of Tarot(タロット百科事典)」出版。
続く、1986年にVol.2、1990年にはVol.3を出版。
1978年[日本]昭和53年 林宏太郎氏、「トランプとタロット」(平凡社)出版。
1979年[日本]昭和54年 松田道弘氏、「トランプものがたり」(岩波書店)出版。
1979年映画「ブリキの太鼓」。映画「エイリアン」。
1980年〔アメリカ〕サリー・ニコルズ、「ユングとタロット 元型の旅」出版。
1980年〔日本〕昭和55年 A.木星王氏、SCHOOL OF WICCA開講、WITCHCRAFTを日本で初めて紹介。また、同年4月 大阪丸ビルにタロット占いの店、「魔女の家」1号店オープンする。以後、氏を中心にした神戸が80年代、90年代と、日本におけるタロット文化の発信地となる。
1980年〔日本〕昭和55年 漫画家魔夜峰央氏(「パタリロ!」「ラシャーヌ!」など)の作画、山田美登利氏の解説で「タロット占い」(白水社)が出版される。
1981年〔日本〕昭和56年 A.木星王氏「イーチン・タロット占い」(西東社)出版。
1982年映画「E・T」。
1985年映画「バック・トウ・ザ・フューチャー」
1989年〔日本〕荒木飛呂彦著、漫画「ジョジョの奇妙な冒険(第3部)」のスタンド(超能力?精神的なエネルギー?)のキャラクターにタロットの大アルカナが使用される。絵柄は「JOJO6251」(1993年出版、集英社)50P~53P参照。
1991年〔日本〕画家、天野義孝氏の作画で「幸せをつかむタロット占い」(成美堂)が出版される。解説はエミール・シェラザード。
1992年〔アメリカ〕 ユング心理学の専門家、シンシア・ジャイルズ、「タロット 歴史 秘儀 伝承」出版。
1997年映画「タイタニック」
1999年映画「マトリックス」。
2000年〔アメリカ〕 セラピストのアーサー・ローゼンガンデル、「タロットと心理学」の中で、セラピーの現場でのタロットの臨床での使用例を詳述。
*参考文献:「タロット大全」伊泉龍一著、「ジプシー占いタロット入門」A.木星王著、「秘法カード占い入門」A.木星王著、「上級タロット占術」A.木星王著、「The Encyclopedia of Tarot」Vol.Ⅰ Vol.Ⅱ Vol.Ⅲ Stuart R Kaplan著 他
伊泉龍一氏監修「運命の世界」はこちら。
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